仕事を教えてもらえないのにできていないと怒られる

この記事では、念願のお花屋さんで働き始めた新入りスタッフさんから最も多く寄せられるお悩みを紹介します。

新人さんのいちばんの悩みは、花の名前が覚えられないとか、花の扱いが分からないとか、フラワーアレンジメントが上手に作れないといった、自分の技術に関する不安ではありません。仕事環境のことがいちばん多いのです。
お店の環境の問題のために悩みすぎて夜も眠れない、笑えなくなってしまった、というような大きな悩みに発展してしまうこともあります。寄せられたお悩みを詳しくみていきましょう。

店長・先輩が何も教えてくれません、いつもイライラ怒鳴ってばかり

Aさん

とても悲しいことですが、じつは、こうした事態はお花屋さんではとても良くあることです。
お花屋さんでは普通のことかと聞かれたら、そうだと言わざるを得ません。

しかしです。現実的にお花屋さんではよくあることではありますが、仕事の新人研修の場での上司としてこのような店長さんや先輩の態度は良い指導者とはとても言えません。ハッキリ言って失格です。

ではなぜ、お花屋さんではこんな事態が常習化してしまっているのでしょうか?

お花屋さんがみんなイジワルな人ばかりだから、なんてことはありません。
これには・・・、ぶっちゃけてしまうと、背景に大きな原因が2つあります。

店長さんや先輩が

①仕事の教え方が分からない

②忙しすぎて時間的・心理的余裕がない

 詳しく見ていきましょう。

 

教えてくれないのは、教え方が分からないから

「そんなバカな!?」
って思うかもしれませんが、ほぼほぼ、これが現実です。


あなたは、これまで「教え方」って、習ったことがありますか?

日本の普通の学校を出ても、教職課程をとらない限り普通、学校では習わないと思います。
きちんと「教え方」を学ぶ、という機会は、なかなかありませんよね。

学生時代に部活動をしていたり生徒会などの活動をしていた場合は、先生や上級生に活動を教わった経験から、その後自分が上級生になったときに先生や先輩に指導してもらったように下級生に教えていくようになる、という光景がよくあります。
社会人になってからの勤め先でも、このような感じが一般的かもしれません。

最近では、指導する側である上司や先輩向けに、指導方法を学ぶ研修も行われるようになってきていますが、指導方法を学んだことがない場合、基本的に人は自分が教わってきた方法で後輩に伝えようとします。

ここでお花屋さんの場合に戻りますね。
お花屋さんは、(もちろんお店によりますが)職人系の仕事の特徴として「見て覚えろ」の傾向がいまだに強いです。

そのため、店長さんや先輩自身が、新人のときに「仕事は見て覚えろ」「質問するなんて言語道断」という環境で過ごしたケースが多いんです。

だからこそ店長さんも、先輩も、同じように精神的につらい思いをした経験があることが多く、ろくに教えてもらえないこの方法では精神的にきつくなって辞めてしまうスタッフが多くなることも、スタッフの成長が良くないことも、理解してはいると思います。

ですが、ここで2つめの原因がのしかかります。

 

忙しすぎて教える時間がない

人に何かを教えるって、時間と根気が必要なんです。
分かりやすく教え伝えて、理解と成長を待つ。
教える側に、その物理的な時間と心の余裕があると、ゆとりのある良い指導ができます。

ところが、お花屋さんという職場は、まず、指導するための物理的な時間を取ることがとても難しいです。
やることが多すぎて超多忙だからです。
当然、お花屋さんは、超多忙でもう仕事をさばききれない!からこそ新しいスタッフを雇ったと思うのですが、超多忙すぎてすでに仕事がパンクしている所に新人さんが来てくれても、新人さんを教育するための物理的な時間を取ることができません。


仕事を教え、成長させてお店の仕事を担ってもらいたいと、思っているはずなんですよ。
そしてお店の現スタッフが少しでも楽になるようにと思っているんですきっと。

「きちんと仕事を教えて、はやく一人前になってくれたら」
せっかく新しいスタッフを雇っているんですから、こう思っているはずなんです。

また、自分が新人の頃は「見て盗め」「意地でやれ」でとても大変だったので、自分が教える番になったらきちんと教えてあげたい、そうしたら早く仕事ができるようになって、お店も助かるはず、とは考えていると思うんです。
しかし、自分はきちんと教えてもらっていないので、どう教えてあげたら分かりやすいだろう?教え方から考えなくてはなりません。が、その指導内容をイチから考えている時間も、まったくありません。

  

 

分かりやすく教え伝えて成長を待つ心の余裕もない

さらに、教えたことができるようになるには時間の経過が必要です。
1回で完璧にできることなんて、基本的にありませんから何度も丁寧に繰り返し指導したいんです、本当は。
どのくらいできるようになったか都度見て、アドバイスをして、導いていきたい、きっと店長さんや先輩も、そういう優しい気持ちも持っていると思うんです。

しかし、成長を待つためには、心の余裕というものが必要です。
教える側の心にゆとりがあって、おおらかに構えていられるからこそ可能になります。

ここでお花屋さんの毎日の状況に戻ります。
毎日毎日、やることが多すぎて仕事が終わらなくてパンクしている状態のところに、何も知らない新人さんが来る。
そうすると、本来、しっかり丁寧に教えてあげたい気持ちがあっても、もう、余裕がないんです。テンパりすぎて余裕のよの字もありません。

とにかく目の前の作業、やるべきことを終わらせなくては!次、そのまた次!!
まさに目の色が変わるほど忙しく、余裕ゼロだからこそスタッフを増やしたかったはずなのですが、指導する時間を取る、ということができないまま日々が過ぎていく。余計に焦る。焦るから、もっとテンパる。余裕ゼロでテンパっているため、新人さんが何をしたらいいの変わらず立ち尽くしてしまう姿を見たり、何か質問されたりするともう、キレて怒鳴り散らしてしまう…

壮絶な悪循環になっているんです。
教えて導くという本来、とても大切であるはずの仕事をやるすき間がどこにもないことが最大の原因です。

 


どうしてそんなことが分かるの?経験者だからです

ある意味環境的要因で、しかたがないことなのかも?とも言えますが、しかたがない、で済ませていたらこれからも何も変わりません。

ではどうしたらいいのでしょう?

そもそも、なぜわたしがこんなにお花屋さんの裏事情に詳しいのかというと、わたし自身、未経験でなんにも知らずにお花屋さんにアルバイトに入った経験があるからです。そして何も教えてもらえず怒られイライラされた新人だったからです。
そうして新人時代を過ごしたわたしは「後輩にはきちんと教えてあげよう」と思いました。自分みたいな思いをさせていたら新人10人来て1人生き残るかどうかという生存率になってしまいます。そんなのは悲しいし教え損になってしまうというか労力がかかりすぎてしんどい!

しかし、そう思っていても、できないんですよねこれが。
そう、いま書いたように忙しすぎるから、テンパりまくっているからです。
もともと正常な精神状態じゃないんです。先輩が。

そうして新入りさんが入っては辞めてしまう悪循環を何度か繰り返した頃、わたしはこの悪循環サイクルがもう、本当に嫌になりました。

そして、きちんと教えるための時間を取る、そのためにお店の仕事を効率化する、そのために仕事の取捨選択をする、マニュアルを作る、といった作業に向かいました。勝手にスタッフ一人で、です。
のち店長になって、正式にお店のマニュアルになりましたが、それまではわたしの中でだけのこと。でも、それでもお店は変わりましたよ!意識さえすればスタッフひとりでも少しずつ変えることは可能です。

 

店長や先輩の気分に振り回されずに楽しく仕事はできるのか?

すべての店長さんが時間を作る方向へ向かうことができるかといったら難しいですし、店長さんや先輩の精神状態が良くなることに期待しているだけでは厳しいでしょう。
他人が変わるのを待つことより、ずっと簡単な方法があります。
そう、自分の意識を変えること、自分が変わることです!

他人の考え方や行動を変えることはできませんが、自分の考え方や行動を変えることはできます。自分だけで、ひとりで、今すぐにできるからです。

店長さんや先輩がどうしてあんな状態になってしまうのか?は、おおよその場合、いまの説明で当てはまっていると思われます。店長さんや先輩がイジワルな人間なわけではなく、単に余裕がないんです。
余裕がないからイライラを吐き出すのですが、この不機嫌に巻き込まれてしまうと全員いや~~な気分になってしまいます。
だから店長さんや先輩の機嫌の悪さは、あなたとは別のこと、あなたには関係のないことと線を引きましょう

なんだか心理学みたいな話になりますが、店長さんや先輩の感情はあちらのもの。あなたが背負う必要も、お店に来たお客さんが背負う必要もないのです。自分のことと他人のことの線を引くということです(自他境界)。

でも、実際問題、不機嫌な店長さんや先輩がいたら、イヤ~~な気持ちになっちゃう、という気持ちもわかります。わたしも通ってきた道ですから。

不機嫌な店長さんや先輩が何も教えてくれず、何をしたらいいのか分からないから心細いしどんどん自信もなくなるし、だからこそ余計に店長さんや先輩の不機嫌が刺さってくるようになる…

この悪循環を断ち切るために、わたしが、あなたの先輩として、あなたに仕事の心得から具体的に何をしたらいいのか、これでいいんだという自信を持ってもらえるように教えようと決めました!

お花屋さんの仕事とはどういうものなのか?という考え方に始まって、具体的にお店で何をどうしていくか、お客さんに何をどう受け答えするか、考え方の軸と具体的な行動が分かれば、自分がお店に立つことに自信が持てて、千敗の機嫌に関係なく胸を張っていられるんじゃないでしょうか。

そう考えて「お花屋さんのスタッフが一人前になれる教科書(講義動画)」を作りました。

 

こんな不安・悩みがなくなって、楽しく仕事ができますように!

「毎日掃除・配達・仏花作りばかりで仕事がつまらない」

「一体いつになったらアレンジ教えてもらえるんだろう?先が見えなすぎて不安・・・」

「毎日コレやらされてるけど、一体何のためにやってるんだろう?」

「テキトーに包んどけって言われて見よう見まねでやってるけど大丈夫なのかな・・・」


「電話とりあえず出てるけど『じゃあいいです』って切られちゃう。これまずいんじゃ?」



などなど・・・

なんにも教えてもらえない!
先行き示してもらえない!

そんな時でも、考えの軸をしっかり持つことができる。
自分が何をすればいいのかが分かる。
そして自分の仕事に自信を持ってお店に立つことができますように
 

本来、店長さんや先輩が きちんと伝え、教えるべきことがあんまり機能してないのがお花屋さんの実情。
だから、わたしが後輩に伝えてきた

これからお花屋さんの店頭に立つ
・いま、お花屋さんの店頭に立ち始めた

そんな新入りスタッフさんのために、スタッフ指導係の先輩として話しておきたい
お花屋さんという仕事のプロであるためにまず必要なポイントをまとめました。
あなたの「困った!」を解決するバイブルにしてください!



作業のやり方すら教えてもらえない場合のために、わたしが店長をしていた店での具体的な「作業のやり方」も細かく載せました。お客さんとお話してオーダーメイドを受注するときの対話、フラワーギフトのマナー、お花の花市場での出回り時期も載せました。
話しておきたいことがたくさんあるので、動画(音声のみも有)もたくさん撮りました。
新人さんから良くある質問にも動画でお答えしました。


『先輩として お花屋さんの仕事を始めるあなたに伝えておきたいこと』 (商品リンク)

どうぞ、先輩からの、お花屋さんおの仕事のバイブルとして活用してくださいね。 

 

この記事を書いた人

878work

生花店アルバイトから正社員登用→チーフ→店長になり、スタッフの採用・指導を含め店舗計画・仕入れ・ブライダルまですべての業務を管轄した経験をもとに、お花屋さんになりたい人、新入りスタッフさんのお悩みに答えている。超就職氷河期の東京農大卒