お花屋さんの仕事ってどんなもの?

お花屋さんの仕事とは

「お花屋さんの仕事=花を売ることでしょ?」

って思うかもしれません。

もちろん、お花屋さんの仕事の中には、花を売る場面もあります。
ですが、お花屋さんの仕事は花を売ること、と考えていると、毎日の繰り返しの中で先行きが見えなくなって焦ったり、自分が一体どこを目指しているのか分からなくて不安になってしまったりするかもしれません。

お花屋さんの仕事とは、一体どこを目指して、どのようなことをしていくものなのか。

お花屋さんの仕事をしていくならまず心に留めておきましょう。


お花屋さんの仕事の目的は花を売ることではありません

お花屋さんの仕事を始めるときに
「この仕事の目的はこう、こういう意義があるもので、だからこのような作業を日々行っていくんだよ」
というような指針を示してもらえることは、残念ながら、あまりないのではないでしょうか。

一生懸命自分で考え
「花を売るんだよね」
「なにからすればいいんだろう」
「レジは打てるようにならなくちゃ」
「花の種類を覚えなくちゃ」
「フラワーアレンジメントの腕前をあげなくちゃ」と
日々、あれをしたら良いのでは?これをしなくちゃいけないのでは?と思いを巡らせ、不安な中手探りで進んでいるのではないでしょうか。

そんなあなたの悩みを軽くするために大切なことは、細かい手段や方法よりもまず、お花屋さんの仕事の目的を理解しておくことです。

お花屋さんは何のために存在するのでしょうか?
花を売る、ということそのものが目的なのではない、ということに気がつくと、きっと仕事の見え方が変わってくるでしょう。

お花屋さんは確かに花を販売するのですけれども、売ることが仕事であり目的だとすると、売れば万々歳ということになります。
本当にそうでしょうか?花が売れたらそれで万々歳なのでしょうか?
売れたあと、花を買った人がどんな思いを抱いていても成功でしょうか?
花を買った結果悲しくても?泣いていても?


それは違う、ただ売れさえすれば良いのではない。
あなたがそう思ってくれたならとても嬉しいですです。

お花屋さんは中間地点のつなぎ役

お花屋さんに限らず、
すべての仕事は、その先に人を幸せにするためにあります。
あなたの仕事は、その先に誰かが喜ぶためにあります。

  

お花屋さんは、農家さんが丹精込めて育てた植物を市場や農家さんから仕入れてお客さんに提供します。

その方法はお店によってさまざまです。
農家さんから仕入れたそのままできるだけ新鮮なうちに提供したり、美しいフラワーアレンジメントに整えて提供したり、寄せ植えを作って提供したりします。
が、どんなタイプのお店であっても、その最終的な目的は花を購入したお客さんや、お客さんが花をプレゼントした相手の人がその花をとおして幸せな気持ちになることです。

お花屋さんが人と人を繋いだその結果、花を開発した人も、花を育てた人も、花を運んでくれた人も、お花屋さんも、お客さんも、お客さんの周りの人も、みんなが幸せになる。それが、お花屋さんがみんなの手をつないで回す大きなサイクルです。

 

花が売れていくのはあくまでも通過地点


お花屋さんは、お店に仕入れた花を使って、花を買った人や、買った人から花を贈られた相手の人が幸せになることを目指します。
お店の花が売れたその先に、花を受け取った人の幸せな笑顔が見られるように動きます。

そのための動きの例として、掃除をしたり、レジを打ったり、フラワーアレンジメントを作ったりするわけです。
ですが実際には、この細かい作業のやり方はお店によって、人によって異なってきます。
絶対にこうする、こうやるべき、といった、たった一つの魔法のやり方のようなものは存在しません。
ですから細かい手法に縛られる必要はありません。

細かい手法より、あなたの仕事の先の、花を買ってお店を出たお客さんや、お客さんが花を手渡す相手の顔、お客さんが花を持ち帰った家でその花を見たときの家族の顔をいつも想像していることが大切です。

1つ1つの作業をこなすことが目的でも、お客さんがレジを通過することが目的でもないことをいつも忘れないように心がけるようにしましょう。

 

 

花屋さんが仕事で行う作業の例

とはいっても、お花屋さんが実際にどんな業務を行うのか?は知っておきたいですよね。

お花屋さんは、花を使って

・花という素材そのものを販売したり
・花を使って作った美術的な作品を販売したり
・その扱いや作品作りを教えたりします。

 

そのために

・花という生き物の手入れをしたり
・店舗の清掃をしたり
・値付け・POP書きをしたり
・フラワーアレンジメントを作ったり
・店舗のディスプレイをしたり
・配達や活け込みに行ったり
・仕入れに行ったりします。

 

もちろん接客を介するので

・接客
・レジ打ち
もありますし

販売するものがオーダーメイドになることも多いので

・カウンセリング的な相談や
・コンシェルジュ的な提案
も含まれます。

見えない所では

・販売計画を立てる
・商品展開を考える
・商品作成のための資材を用意する
・花の事前注文をしておく

といった仕事もあります。

仕入れた花は機械製作した製品と違い生きているので、そのまま陳列しておけばいい、というわけにはいきません。
かならず手入れや世話が必要な生きものです。

かつ、その花を素材として使って花束やフラワーアレンジメントを製作するので、全体的なイメージとしてはレストランを開業している場合を想像してもらうとかなり近いと思います。
レストランよりもさらに仕事内容が多いですね。
料理人が、料理を店でも提供しつつ・出前も出張もし、素材の食品も販売するような感じでしょうか。
超多忙なことは想像に難くないと思います。

ここまで多岐にわたる業務内容がある店舗・サービス業のほかの例が挙げられないくらい、業務内容が多岐にわたるお店です。

やるべき作業があまりにも多いために、作業をこなすことやお客さんがはけることが目的になってしまいやすいです。

ですが、いつでもその作業をするのはお客さんや、お客さんの大切な人がその花を経て幸せになるためだということを、どうぞ忘れないでくださいね。

 

人にしかできない、心と心を繋ぐ仕事に意味がある


ただお店に来た人に花を売るのが仕事だと思っていると、お店に来た人に、乞われた花を渡すだけになってしまうおそれがあります。
これください、はいどうぞと渡すだけならば無人販売所でもできてしまいますね。
そこに人が存在する意味がなくなってしまいます。

これでは、わざわざ花屋さんが存在する意味・意義がなくなってしまいますよね。
スーパーやホームセンターのの束売り花があればそれでいい、となってしまいます。

でも、束のお花がそこにあっても、家でどう扱い、どう飾ったらいいか分からないから買えない。
そんな人もいるはずです。
「友達の誕生日に花束を贈りたいのに、作ってもらえる所はないのかな」という人もいるはずです。

お花屋さんが存在するのは、人を介さないとできない、教え伝えたり、人の気持ちを形にするためです。

 

お花屋さんはぱっと見、花を売っているだけに見えるかもしれません。
しかしその深いところで、

・花をとおした暮らし・文化を伝える
・贈り主の心を花束やフラワーアレンジメントという形に具現化する
・その結果、関わる人を幸せにする


そういう仕事をしているのです。

大切なのは人と人の心を通わす媒体として花を扱うこと。花のある暮らしそのものを文化として伝えること。それが、お花屋さんの仕事です。

 *参照:お花屋さんには社会的役割があります

 

この記事を書いた人

878work

生花店アルバイトから正社員登用→チーフ→店長になり、スタッフの採用・指導を含め店舗計画・仕入れ・ブライダルまですべての業務を管轄した経験をもとに、お花屋さんになりたい人、新入りスタッフさんのお悩みに答えている。超就職氷河期の東京農大卒